英語を勉強している人の中には、将来仕事として翻訳をしたいと思っている人もいるでしょう。
翻訳家は、海外の文章を翻訳するのが仕事。
しかし、実際にどのような仕事をしているのか分かりづらいですよね。
この記事では翻訳家の仕事内容や翻訳家になるための方法、翻訳家としての働き方について紹介します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
Career Study
翻訳家の仕事とは
翻訳家とは、海外の書物や文章・映像などを他国の言語に訳す仕事です。
私たちが海外映画や小説を気軽に楽しめるのは翻訳家のおかげです。
様々な言語に精通し、他の言語の作品を日本語で読めるようにしてくれています。
また日本の作品を海外に向けて翻訳するのも翻訳家の仕事です。
翻訳家の仕事によって、日本で話題になった作品が海外の人にも楽しんでもらえるのです。
ここでは翻訳家の具体的な仕事内容を大きく3つに分けて解説していきます。
1.実務翻訳
翻訳の仕事の中でも多くの割合を占めるのが実務翻訳です。
実務翻訳はビジネス書や学術書、契約書やマニュアルなどを翻訳する仕事です。
海外企業との取引に必要な文章を翻訳したり、論文のサポートをしたりします。
専門的知識を要する場面が多く、法律文章やIT関連機器、医療、特許関連など幅広い知識が必要です。
2.出版翻訳
出版翻訳は海外の書籍や雑誌、歌詞などの文芸作品を翻訳する仕事です。
様々な海外の作品に携われるのが魅力の一つ。
出版翻訳にはその作品が伝えたいことを汲み取り、読み手に伝わるように表現する力が必要です。
原文を正確に翻訳するだけではなく、作品の世界観を壊さずに作者が伝えたいことを表現する力が求められます。
2.映像翻訳
映像翻訳は海外映画やドラマ、ドキュメンタリーなどを翻訳する仕事です。
実際に人が話している映像に合わせて字幕をつけたり、日本語音声の吹き替えを作成したりします。
映像と言葉にずれや違和感がないように言い回しを考え、さらに口の動きと合わせる技術も必要です。
字幕翻訳では文字数制限があり、限られた文字数の中で的確に表現する技量も必要となります。
翻訳家になるための方法
翻訳家になるために必要な資格や免許はありません!
しかし、一定の語学力は必要です。
なので、ここからは翻訳家になるための「大学の選び方」や「受験しておきたい検定試験」について解説していきます。
ぜひ参考にして、できるところからチャレンジしてみてくださいね!
1.大学の英文科や外国語学科で学ぶ
翻訳家になるためには、大学の英文科や外国語学科で学ぶのが近道です。
【翻訳家になるための勉強ができる大学・学部・学科の一例】
- 東京外国語大学 言語文化学部 言語文学科
- 白百合女子大学 文学部 フランス語フランス文学科
- 京都ノートルダム女子大学 文学部 英語英文学科
- 立教大学 異文化コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科
- 大谷大学 国際学部 国際文化学科
翻訳家になるためには、英文科のある大学や外国語大学を選ぶ人が多いですが、上記のように目指せる学部・学科は多くあります。
携わりたい言語が決まっている場合は、その言語が専門的に学べる学部を選ぶと良いでしょう。
とくに決まっていない場合には、まずは興味のある学部・学科を見つけるところから始めましょう!
参考:逆引き大辞典「JOB-BIKI検索結果:翻訳家」(著名な翻訳家の出身大学)
参考:スタディサプリ進路「翻訳家を目指せる大学・短期大学(短大)の一覧」
2.翻訳に活かせる試験を受ける
翻訳家になるためには、言語能力を証明できるものがあると便利です。
その言語について大学や留学で学んできたと伝えるだけでは、実際どれくらいの能力があるのか分かりません。
その指標として主に用いられる語学力検定試験とおすすめの資格を紹介します。
- TOEIC
- 英検
- JTF翻訳検定
- JTA公認翻訳専門資格試験
TOEIC
TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)は、英語のコミュニケーション能力を判定する世界160カ国で実施されている世界共通の基準テストです。
日常生活やグローバルビジネスで使える活きた英語力が試されます。
TOEICは、合否はなく10点〜990点のスコアで評価されます。
実用英語技能検定
実用英語技能検定とは、通称「英検」と呼ばれる国内最大級の英語資格試験です。
リーディング・ライティング・リスニング・スピーキングの4つの技能を測定します。
実用英語技能検定は1級〜5級まであり、2級が高校卒業レベルの英語能力、1級は世界で活躍できる英語力を証明できます。
JTFほんやく検定
JTFほんやく検定とは、一般社団法人・日本翻訳連盟(JTF)が主催する試験で、実践的な実務翻訳の技能を測る試験です。
基礎レベルは5級と4級の試験にわかれ、基礎語学能力と翻訳のセンスを判定します。
実用レベルは1級〜3級まであり、3級以上の試験に合格すると「翻訳士」の称号が与えられます。
これから翻訳家になるための勉強をする人は、まずはJTFほんやく検定の基礎レベルに挑戦してみるといいでしょう。
JTA公認翻訳専門資格試験
JTA公認翻訳専門職資格試験は、一般社団法人・日本翻訳協会(JTA)が主催する、翻訳専門職のための試験です。
翻訳のプロフェッショナルとしての能力を総合的に審査し、認定する資格試験です。
英語または中国語を選択でき、翻訳技能のほかに翻訳ビジネスやマネジメント能力等も問われ、ビジネスと翻訳者の関係を意識した試験内容となっています。
就職前に合格しておくと、翻訳家としての能力をアピールできるでしょう。
Career Study
翻訳家に求められる6つの適性
自分に合っているかちょっと心配だな。
英語や他の言語が好きだから翻訳者になりたいと思う一方、自分に適性があるのか悩むこともありますよね。
ここでは翻訳者に求められる適性について説明していきます。
1.英語または他の言語に対する高い理解力がある
一般的に翻訳者として仕事を始めるために必要な英語力は、TOEICなら850点以上(Reading section400点以上)、英検なら準1級以上が目安と言われています。
しかし翻訳家に求められるのはただ英語ができるだけではありません。
文章には、言葉の背景にある読み手に伝えたい内容(意図)が必ず含まれています。
したがって翻訳者には、直訳するだけではなく、書き手が伝えたいことをしっかり理解して表現する高いスキルが求められます。
また状況に応じた翻訳をするためには、その国の文化や歴史、生活環境についても知っておくと良いでしょう。
「その国が好きだから携わりたい!」「もっとその国のことを知りたい!」と思う気持ちが大切ですね。
2.リサーチ力が高い
翻訳という仕事の7割くらいは、文献を調べて知識を得たり、自分の考えた訳語が本当にその業界で適切な言葉か調べたりする「調査」がしめています。
そのため翻訳作業の工程の中で最も重要な要素の一つがリサーチスキルなのです。
正確な情報を効率よく集められる能力があれば、無駄に時間を費やすことなく翻訳作業を進めることができます。
分からないことがあれば徹底的に調べる習慣を身につけることが大切です。
3.日本語のライティングスキルがある
英語力が高くて、内容をしっかり把握できていたとしても、分かりやすく読みやすい日本語文章を書く表現力がなければ、多くの人に伝わる翻訳をすることはできません。
これから翻訳者を目指そうと思って勉強している人は、英語の勉強と同時に日本語のライティングスキルを磨いていくと良いでしょう。
4.専門知識やトレンドを積極的に吸収できる
翻訳家の仕事には専門知識が必要です。
外国語で自分が知らない分野の言葉を理解するのは難しいもの。
例えば、発注元の業界の実務に関連した内容を、深く掘り下げて翻訳するよう指示されることがあります。
そこで使われる言葉は一般的な英語ではなく専門的な用語であることも多いため、常に新しい単語を学び吸収することが大切です。
また文芸作品や映像作品を翻訳するうえでは、トレンドにも敏感になっておくと良いでしょう。
海外や日本でのトレンドを知ることで、伝わりやすい言葉遣いができます。
また流行りの言葉は次々と移り変わるため、使われなくなった言葉を「みんなよく使っているだろう」と思い込んで使ってしまうと、違和感のある翻訳をしてしまいかねません。
翻訳家の仕事を目指すならば、常に最新情報・トレンドに敏感になっておきたいですね。
5.ITスキルがある
翻訳の仕事にITスキルが必要というイメージはあまりないかもしれません。
しかし、スピード勝負の翻訳業界において機械翻訳や翻訳支援ツール、置換、ワイルドカード、マクロなどを使用することで業務効率を上げられるのです。
新しい技術について積極的に情報収集をして、常に「もっと速く品質の良い仕事を仕上げられる方法はないか」と、改善する方法を模索する姿勢が大切です。
6.クライアントとのコミュニケーションがきちんととれる
当たり前ですが、ビジネスマナーを守ってクライアントとコミュニケーションが取れる力も仕事を円滑に進めるうえで非常に重要です。
スムーズにやり取りして納品までしっかりこなすことができれば、クライアントから高評価を得ることもできるでしょう。
責任を持ってきちんと仕事を遂行することが、プロ翻訳者として仕事を続けていくうえで絶対に必要なスキルなのです。
TAKASHI KAWAHARA
英語が好きなだけでは、できない仕事!
翻訳家を目指すきっかけは、「英語などの外国語が好きだから!得意だから!」というケースが多いかもしれません。
その気持ちはとっても素晴らしく、これからも大切にしていてください!
しかし翻訳という仕事は「外国語の能力が高いだけ」ではこなすことはできないことを今のうちから知っておきましょう。
翻訳の仕事をするためには、情報収集をしたり、専門知識をさらに磨いたり、日本語で論理的に分かりやすく表現できたり、コミュニケーションを円滑に取れるなど様々なスキルが必要です。
そして何よりも新しいことに常に目を向けてスキルをアップデートしていく姿勢が必要になります。
難しい仕事ではありますが、その分大きなやりがいと楽しさもある仕事なので、諦めず学びつづけて翻訳家への道を拓いていきましょう!
翻訳家として働く3つの方法
翻訳家として活動するには、どのような場所に就職すれば良いのでしょうか。
ここでは、翻訳家として仕事を始めるための方法を3つ紹介します。
1.翻訳会社
翻訳家になるための就職先で一番多いのが、翻訳会社への就職です。
翻訳会社は実務翻訳を手掛ける会社が多いです。
実務翻訳家として就職すれば、医療関係、工業、金融や法律関係など幅広い分野に携われます。
取り扱う文献は、ビジネス書や学術書、特許関連書類などが中心です。
2.一般企業
翻訳部門のある一般企業や貿易関連会社、法律事務所などに就職するのも一つの方法です。
実務翻訳として、契約書や申請書類、マニュアル作成など企業に必要な書類を翻訳する仕事や、英語だけでなく中国語や韓国語の翻訳の求人などさまざまにあります。
3.フリーランス
フリーランスとして案件ごとに契約を締結し 、一つの文書や作品の翻訳を行い報酬を受け取る方法もあります。
フリーランスとして独立するなら、基本的には翻訳会社や一般企業などで実務経験を積む必要があります。
Career Study
まとめ
翻訳家になりたい場合、身につけておきたいスキルはたくさんあります。
「大変そうだなあ」「私にできるかなあ……」と不安に思うこともあるかもしれませんが、あなたが好きだったり、得意だったりする外国語を活かすことのできる仕事です!
諦めずに翻訳家を目指していきましょう!
それに頑張って翻訳家になれた暁には、自分が翻訳した文書が活かされ、ビジネスに成功したり、出版物が発行されたり、映画が公開されたりすると、大きなやりがいを感じられるはずです。
ぜひ今回紹介した内容を参考にして、翻訳家への道を切り拓いていってくださいね。
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TAKASHI KAWAHARA
翻訳家のやりがいとは?
翻訳家は、相手に理解してもらえる分かりやすい文章表現を扱う必要があります。
そのため、自分が翻訳した文章が相手に伝わったときは、素直に「うれしい!」「良かった!」とやりがいを感じることでしょう。
例えば、実務翻訳では、契約書やマニュアルを翻訳します。
自分が翻訳した文章を読んで契約が締結されれば、新たなビジネスが動き出し、その会社の人たちに喜ばれます。
つまり、海外とのビジネスが成功する瞬間に携われるのです。
文芸翻訳や映像翻訳ならば、これまで知る機会がなかった海外の作品を、異国の人々の身近な存在へ変えられる喜びがあります。
それを読んだり観たりした人たちが、「すごく感動した!」「面白かった!」と喜んでもらえると、翻訳したかいもあるものです。
さらにその作品がヒットすれば、多くの人に目にふれられることになり、作品の普及に貢献できる経験も、翻訳家にとって大きなやりがいとなることでしょう。